仏壇のチーンの名前はおりん!宗派別の鳴らし方と回数
- h-gyoten
- 5 日前
- 読了時間: 8分

「実家の仏壇を引き継いだけど、お参りの作法がよく分からない…」
「仏壇にある『チーン』と鳴らすものの名前って何だろう?」
「法事で親戚が集まる前に、正しい使い方を知っておきたい」
故人を偲び、仏壇に手を合わせる大切な時間。
しかし、これまで馴染みがなかった方にとっては、仏具の名前や作法など、分からないことだらけで不安に感じますよね。
特に、あの「チーン」と澄んだ音を響かせる仏具の扱いは、多くの方が迷うポイントです。
ご安心ください。
この記事では、仏壇の「チーン」の正式名称から、宗派ごとの正しい鳴らし方、回数、そして知っておきたい作法まで、専門家が分かりやすく解説します。
この記事を読めば、あなたも自信を持って、故人やご先祖様に失礼のない、心のこもったお参りができるようになります。
仏壇のチーンの正式名称は「おりん(お鈴)」
仏壇で「チーン」と鳴らすあの仏具の正式名称は、「おりん」または「お鈴(おりん)」と言います。
多くの場合、親しみを込めて「おりん」と呼ばれることが一般的です。
おりんは、ただ音を鳴らすだけの道具ではありません。
故人やご先祖様への祈りを届けるための大切な仏具です。
その澄んだ音色は、私たちの心を落ち着かせ、祈りの空間を清らかにしてくれる役割も持っています。
りん本体・りん棒・りん布団の各名称と役割
おりんは、いくつかのパーツで構成されています。
それぞれの名前と役割を知っておくと、より丁寧に扱えるようになります。
りん本体
お椀のような形をした、音を鳴らすための金属製の仏具です。真鍮(しんちゅう)製が一般的ですが、金や銀、さはり(銅・錫・鉛の合金)など、様々な素材で作られています。
りん棒(りんぼう)
おりんを叩いて音を鳴らすための棒です。「りんを叩く棒」なので、そのまま「りん棒」と覚えると分かりやすいでしょう。布や革が巻かれているものが多く、おりんを傷つけずに美しい音色を響かせることができます。
りん布団(りんぶとん)
おりんの下に敷く座布団のようなものです。おりんが転がるのを防ぎ、叩いたときの衝撃を和らげて余韻を美しく響かせる役割があります。
りん台(りんだい)
りん布団を乗せるための台です。必須ではありませんが、りん台を使うことで、より丁寧な印象になります。
「鐘(かね)」や「鈴(すず)」との違い
おりんは「鐘」や「鈴」と混同されがちですが、少し違いがあります。
鐘(かね)
一般的に、お寺にある大きな「梵鐘(ぼんしょう)」や、読経の合図に使う「喚鐘(かんしょう)」などを指します。おりんも広い意味では鐘の一種ですが、家庭の仏壇で使う小型のものを特に「おりん」と呼び分けることが多いです。
鈴(すず)
神社の拝殿にある大きな鈴や、お守りについているような小さな鈴をイメージすると分かりやすいでしょう。振って音を出すものが「鈴」で、叩いて音を出すものが「おりん」や「鐘」と区別されます。
おりんを鳴らす意味と目的
おりんを鳴らす行為には、大きく3つの大切な意味が込められています。
なぜ鳴らすのかを知ることで、お参りがより一層心のこもったものになります。
読経の始まりと終わりを知らせる合図
おりんは、お経を読み始める前と読み終えた後に鳴らすのが基本です。
これは、これからお経を読みますよ、お経が終わりましたよ、という合図の役割を果たします。
この音を合図に、祈りの空間が始まり、そして終わるのです。
音色で邪気を払い場を清める
おりんの澄み切った音色は、その場にいる人々の邪念を払い、空間を清める力があると考えられています。
高く長く響き渡る音を聞くことで、私たちの心も自然と静まり、穏やかな気持ちでご先祖様と向き合うことができます。
祈りの音を仏様やご先祖様に届ける
おりんの音色は、私たちの祈りや想いを乗せて、仏様やご先祖様の世界(極楽浄土)まで届けてくれると言われています。
ただ手を合わせるだけでなく、この音色とともに祈りを捧げることで、より深く想いが伝わると信じられているのです。
おりんの基本的な鳴らし方と作法
おりんの鳴らし方は決して難しくありません。いくつかのポイントを押さえるだけで、誰でも美しい音色を響かせることができます。
りん棒の正しい持ち方
りん棒は、鉛筆を持つように軽く握るのが基本です。
親指、人差し指、中指の3本で支え、力を入れすぎないようにしましょう。
強く握りしめると、硬い音になってしまいます。
りんを叩く場所と力加減のコツ
おりんのフチの少し下あたりを、りん棒で水平に軽く叩きます。
叩く場所: フチを直接叩くと、欠けや傷みの原因になります。必ずフチから少し下がった側面を叩きましょう。
力加減: 「カーン」という硬い音ではなく、「チーン…」と澄んだ音が長く響き渡るくらいの力加減が理想です。何度か試して、一番心地よい響きになるポイントを探してみてください。
注意点:おりんの内側を叩くのは作法違反とされていますので、必ず外側を叩くようにしましょう。
鳴らし終えたりん棒の置き方
おりんを鳴らし終えたりん棒は、りん布団の脇やりん台の所定の場所に静かに置きます。
りん棒をおりんの中に置いたり、立てかけたりするのは避けましょう。
音が止まってしまいますし、見た目も美しくありません。
おりんを鳴らす回数は何回が正解?
「おりんはいったい何回鳴らせばいいの?」というのも、よくある疑問です。
回数には基本的な考え方がありますが、宗派によって違いがあるため、一概に「これが絶対」という決まりはありません。
一般的な作法では2回鳴らすのが基本
多くの宗派では、お経の前に2回鳴らすのが一般的です。
1回目: これからお参りを始めるという合図。
2回目: 1回目の音が消える直前に鳴らし、音を長く響かせることで、祈りを極楽浄土まで届ける。
この2回という回数は、故人やご先祖様への敬意を示す大切な作法とされています。
3回以上鳴らす宗派とその意味
宗派によっては、3回以上鳴らす場合もあります。
例えば、仏様・法(教え)・僧侶の三宝に帰依するという意味を込めて3回鳴らすなど、その回数にはそれぞれ意味が込められています。
【宗派別】おりんの鳴らし方と回数の違い
おりんの作法は、宗派によって考え方が異なります。
ご自身の家の宗派が分かる場合は、ぜひ参考にしてください。
ただし、同じ宗派でもお寺や地域によって作法が異なる場合があるため、菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)に確認するのが最も確実です。
浄土真宗はおりんを鳴らさない
浄土真宗では、読経中におりんを鳴らすことは基本的にありません。
これは、おりんの音で邪念を払うという考え方がないためです。
勤行(おつとめ)の始まりと終わりを知らせる合図として「鐘(かね)」を打ちますが、お参りのたびに鳴らすおりんとは役割が異なります。
真言宗の作法と回数
真言宗では、お経を読む前に2回鳴らすのが一般的です。
1回目はゆっくりと、2回目は1回目の音の余韻が残っているうちに叩き、音を重ねて長く響かせます。
日蓮宗の作法と回数
日蓮宗では、読経の前に3回、長く伸ばして鳴らすなど、特徴的な作法が見られます。
これは、宗派によっても異なる場合があるため、菩提寺の住職に確認するとよいでしょう。
曹洞宗・臨済宗の作法
禅宗である曹洞宗や臨済宗では、お経の前に3回鳴らすのが一般的です。
ただし、読経の区切りで鳴らす回数が変わるなど、細かい作法が定められている場合もあります。
天台宗・浄土宗の作法
天台宗や浄土宗では、他の多くの宗派と同様に、お経の前に2回鳴らすことが基本とされています。
仏壇のおりんに関するよくある質問
最後に、おりんに関して多くの方が抱く疑問にお答えします。
葬儀や法事での鳴らし方は違う?
葬儀や法事では、導師(お坊さん)が鳴らすのが基本です。
私たち参列者が自分でおりんを鳴らす場面はほとんどありません。
自宅でのお参りとは作法が異なるため、導師の指示に従いましょう。
良い音色のおりんの選び方
おりんを選ぶ際は、実際に音色を聞いて、自分が「心地よい」と感じるものを選ぶのが一番です。
高価なものが必ずしも良いとは限りません。
長く響き渡り、澄んだ余韻が残るものが良いおりんとされています。
仏壇仏具専門店メモリアルギャラリーで実際にいくつか鳴らし比べてみることをおすすめします。
おりんのお手入れ・掃除方法
おりんは金属製のため、時間とともにくすみや汚れが目立ってきます。
普段のお手入れ: 乾いた柔らかい布で、指紋やホコリを優しく拭き取ります。
汚れがひどい場合: 仏具専用のクリーナーや研磨剤を使うと輝きが戻ります。ただし、表面に加工が施されているおりんの場合、研磨剤で剥がれてしまうことがあるため注意が必要です。事前に仏具店に相談しましょう。
まとめ
今回は、仏壇の「チーン」という仏具の正式名称「おりん」について、その意味や宗派ごとの鳴らし方、回数を詳しく解説しました。
仏壇のチーンの名前は「おりん(お鈴)」
おりんを鳴らすのは、祈りを仏様やご先祖様に届けるため
基本的な鳴らし方は、りん棒でおりんの側面を軽く叩く
回数は一般的に2回だが、宗派によって異なる
浄土真宗では、読経中におりんは鳴らさないのが基本
最初は難しく感じるかもしれませんが、大切なのは故人やご先祖様を敬い、感謝する気持ちです。
この記事を参考に、ぜひ今日から自信を持って、心のこもったお参りを実践してみてください。
あなたの優しい祈りの音色は、きっと大切な方のもとへ届くはずです。
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