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仏壇の作法が分かる|基本のお参り手順と訪問マナー

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「友人や親戚の家で仏壇にお参りすることになったけど、作法が全く分からない…」

「失礼のないように、正しい手順を知っておきたい」


このように、いざという時に仏壇の作法で悩んだ経験はありませんか?


仏壇へのお参りは、故人やご先祖様への感謝と敬意を伝える大切な時間です。

しかし、普段あまり機会がないと、線香のあげ方や手の合わせ方など、細かい作法に戸惑ってしまいますよね。


この記事では、仏壇へのお参りの基本的な作法と手順を、初心者の方にも分かりやすくステップバイステップで解説します

自宅でのお参りはもちろん、友人・知人宅を訪問した際の挨拶やマナー、お供え物に関する注意点まで網羅しています。


この記事を読めば、もう仏壇の前で迷うことはありません。心を込めてお参りできるよう、正しい知識を身につけましょう。



仏壇へのお参り、基本の作法と手順


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仏壇へのお参りには、一連の流れがあります。

宗派によって細かな違いはありますが、まずは基本となる手順を覚えましょう。

故人やご先祖様を敬う気持ちが最も大切ですので、心を込めて丁寧に行うことを心がけてください。


ここでは、一般的なお参りの作法を6つのステップに分けて解説します。


1. 仏壇の前に座り一礼する


まず、仏壇の正面に座ります。

座布団があれば使わせていただきましょう。

正座が基本ですが、足が不自由な場合は無理せず椅子に座ったり、立ったままお参りしたりしても問題ありません。


仏壇の前に座ったら、まずご本尊とご先祖様、故人に対して敬意を表し、胸の前で合掌して深く一礼します

これが、お参りの始まりの挨拶となります。


2. お供え物がある場合はお供えする


もしお供え物を持参した場合は、このタイミングでお供えします。

家人に「御仏前にお供えください」と渡したお供え物は、家人がお供えするのが正式ですが、自分で供えるように促された場合は、仏壇の前の経机(きょうづくえ)や、仏壇の近くにある台の上に置かせていただきましょう。


仏壇の中に直接置くのではなく、手前のスペースに置くのがマナーです。


3. ロウソクに火を灯す


次に、仏壇にあるロウソクに火を灯します。

仏教においてロウソクの灯りは、仏様の智慧の光であり、私たちの煩悩の闇を照らすものとされています。


マッチやライターで火をつけますが、すでに他のロウソクに火が灯っている場合は、そこから火を分けても構いません。


4. 線香をあげ香炉に立てる・寝かせる


ロウソクの火を使って、線香に火をつけます。

複数本の線香に火をつける際は、束のまま火にかざし、均等に火が回るようにします


線香に火がついたら、口で吹き消すのはマナー違反です。

必ず、片方の手で軽くあおいで火を消してください。

煙が立ち上ったら、香炉(こうろ)に線香を立てるか、寝かせます。

本数や立て方は宗派によって異なりますが、分からなければ1本立てるのが無難です。


5. りんを鳴らし合掌・礼拝する


線香をあげたら、りん(お椀型の仏具)を鳴らします。

りんは、これからお参りを始める合図や、読経の際の音程を合わせるために使われます。


りんの縁をりん棒で軽く打ち、澄んだ音を2回鳴らすのが一般的です。

鳴らし終えたら、りん棒は元の場所に戻します。


その後、数珠を両手にかけて、胸の前で静かに手を合わせます。

これを合掌(がっしょう)といいます。

目を閉じ、故人やご先祖様への感謝の気持ちや報告したいことなどを心の中で静かに唱え、深く一礼(礼拝)します。


6. ロウソクの火を消し、再度一礼する


お参りが終わったら、ロウソクの火を消します。

この時も線香と同様に、口で吹き消すのは避けましょう

手であおぐか、専用の火消しがあれば使わせていただきます。


最後に、仏壇に向かって再度深く一礼し、座布団から下がり、仏壇の前から下がります。

これで一連のお参りは終了です。


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状況別の作法と挨拶のポイント


仏壇へのお参りは、自宅で毎日行う場合と、他人の家を訪問した際とでは、少し心構えや作法が異なります。

それぞれの状況に合わせたポイントを解説します。


自宅の仏壇へ毎日お参りする場合


自宅の仏壇へのお参りは、ご先祖様との大切なコミュニケーションの時間です。

特別な作法にこだわりすぎず、毎日続けることが重要です。


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  • タイミング

    朝起きた時や、夜寝る前など、時間を決めて挨拶する習慣をつけると良いでしょう。


  • お供え

    炊き立てのご飯(仏飯)やお茶、お水をお供えし、手を合わせます。お供えしたご飯やお茶は、時間が経ったら感謝していただきましょう。


  • 挨拶

    「おはようございます」「今日も一日お守りください」「ただいま帰りました」「おやすみなさい」など、日常の挨拶を心の中で語りかけるようにしましょう。


友人・知人宅へ訪問した際のお参り


友人や知人、親戚の家を訪問した際に仏壇がある場合は、お参りを申し出るのが丁寧な対応です。


  • 許可を得る

    何よりも先に、家人に「〇〇さん(故人)にお参りさせていただいてもよろしいでしょうか?」と許可を得るのがマナーです。勝手にお参りを始めるのは絶対にやめましょう。


  • 手短に済ませる

    あくまで弔問ではなく訪問ですので、お参りは手短に済ませるのが配慮です。基本の手順に沿って、心を込めて手を合わせましょう。


  • 宗派の確認

    もし可能であれば、「こちらの宗派の作法で失礼します」と一言断りを入れると、より丁寧な印象になります。


お参りの際の挨拶・心で唱える言葉の例


仏壇の前で手を合わせる時、「心の中で何を言えばいいの?」と迷う方も多いでしょう。決まった言葉はありませんが、以下のような内容を心の中で唱えるのが一般的です。


  • 自己紹介と訪問の報告

    「〇〇(自分の名前)です。本日はお参りにあがらせていただきました。」


  • 故人への語りかけ

    「〇〇さん、ご無沙汰しております。いつも〇〇家(ご家族)のことを見守ってくださり、ありがとうございます。」


  • 感謝の気持ち

    「生前はお世話になりました。安らかにお過ごしください。」


  • 近況報告

    「おかげさまで、家族みんな元気に過ごしております。」


大切なのは、自分の言葉で、故人やご先祖様を思う気持ちを伝えることです。



お供え物に関するマナー


他人の家の仏壇にお参りする際は、お供え物を持参することが多いでしょう。

ここでは、お供え物の選び方から渡し方までのマナーを解説します。


お供え物の選び方とタブー


お供え物は、故人が好きだったものを選ぶのが一番ですが、基本的には日持ちのするお菓子や果物、お花などが喜ばれます。


おすすめのお供え物

  • お菓子 : クッキー、せんべい、カステラ、ゼリーなど個包装で分けやすいもの

  • 果物 : 季節の果物(りんご、梨、ぶどうなど)

  • 飲み物 : 故人が好きだったジュースやお茶など(お酒は家に確認)

  • お花 : 棘や強い香りのない、落ち着いた色の花


避けるべきタブーな品物

仏教では殺生を連想させるものは避けるべきとされています。

肉や魚などの「四つ足生臭もの」はタブーです。

また、香りの強いものや、すぐに傷んでしまう生菓子なども避けた方が無難です。


お供え物の渡し方とタイミング


お供え物は、家にあがって挨拶を済ませた後、玄関先や部屋に通されたタイミングで渡すのがスマートです。


紙袋などから品物を取り出し、のし紙の表書きが相手から読める向きにして、「心ばかりですが、御仏前にお供えください」と一言添えて両手で渡しましょう。


お供え物は持ち帰るべきか


持参したお供え物は、基本的には置いて帰るのがマナーです。

お供え物は「仏様からのいただきもの(お下がり)」として、その家の人々で分かち合うという意味合いがあります。


法事などの後で、家人から「お下がりですが、どうぞお持ち帰りください」と勧められた場合は、故人からの福を分けていただくという意味で、ありがたく頂戴しましょう。



宗派による作法の主な違い


仏壇の作法は、宗派によって細かな違いがあります。

もし訪問先の宗派が分かっている場合は、その作法に合わせるのが理想ですが、分からない場合は自分の家の宗派の作法で行っても失礼にはあたりません。

大切なのは敬う心です。


ここでは、特に違いが出やすいポイントをいくつか紹介します。


線香の本数とあげ方(立てる・寝かせる)


線香の本数や供え方は、宗派によって異なります。


  • 1本を立てる

    曹洞宗、臨済宗、日蓮宗など


  • 2本を立てる

    浄土宗(2本を揃えて立てる場合も)


  • 3本を立てる

    天台宗、真言宗


  • 1本を折り、火をつけた側を左にして寝かせる

    浄土真宗(本願寺派、大谷派など)


もし宗派が分からない場合は、1本だけ立てるのが最も無難とされています。


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浄土真宗におけるお参りの作法


浄土真宗は、他の宗派と異なる独自の作法が多いため、特に注意が必要です。


  • 線香は立てずに寝かせる

    香炉の大きさに合わせて1本を2つか3つに折り、火をつけた側を左にして寝かせます。


  • りんは鳴らさない

    お参りの際に、りんは鳴らしません(読経の際に合図として使うのみ)。


  • お水やお茶はお供えしない

    浄土には「八功徳水(はっくどくすい)」という清らかな水が満ちていると考えられているため、

    お水やお茶はお供えしません。


  • 唱える言葉

    「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と念仏を唱えます。


手の合わせ方(合掌)の違い

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基本的な合掌は、胸の前で両手のひらをぴったりと合わせ、指を揃えます。

数珠を持っている場合は、宗派によって持ち方が異なります。


例えば、浄土真宗本願寺派では、数珠を二重にして親指と人差し指の間にはさみ、房を下に垂らします。


細かい作法にこだわりすぎる必要はありませんが、指と指の間をきっちり閉じ、胸の前でまっすぐ合わせることを意識すると、より丁寧な合掌になります。



仏壇の作法に関するよくある質問


最後に、仏壇の作法に関して多くの方が抱く疑問にお答えします。


Q. お参りは手を合わせるだけでも良い?


はい、手を合わせるだけでも全く問題ありません。

最も大切なのは、故人やご先祖様を敬い、感謝する気持ちです。

時間がない時や、形式的な作法に自信がない場合でも、心を込めて手を合わせるだけで、その気持ちは十分に伝わります。

「仏壇に手を合わせるだけ」でも立派なお参りです。


Q. 訪問時の服装に決まりはある?


法事や特別な弔問でなければ、普段着で問題ありません

ただし、故人やご家族への配慮として、あまりにも派手な色柄の服や、肌の露出が多い服装(タンクトップやショートパンツなど)は避けるのが無難です。

清潔感のある、落ち着いた服装を心がけましょう。


Q. お参りに適した時間帯はいつ?


自宅の仏壇であれば、朝食前や就寝前など、生活のリズムに合わせてお参りするのが一般的です。

他人の家を訪問してお参りする場合は、相手の都合を最優先します。

食事時や早朝・深夜など、迷惑になりそうな時間帯は避けましょう。

日中の訪問であれば、特に時間帯を気にする必要はありません。


Q. りんを鳴らす回数とタイミングは?


一般的には、合掌・礼拝の前に2回鳴らします

1回目は少し弱めに、2回目は澄んだ音が響くように打つと良いとされています。

強く打ちすぎると大きな音が出てしまうので、りん棒で縁を優しく叩くようにしましょう。

お参りが終わった後に鳴らす宗派もありますが、基本は合掌前と覚えておくと良いでしょう。


Q. 仏壇のある家でのタブーな行動は?


仏壇は、その家にとって非常に神聖な場所です。

以下の行動は失礼にあたるため、絶対に避けましょう。


  • 許可なく仏壇の扉を開け閉めする

  • 仏壇の中をジロジロと覗き込む

  • お供え物を勝手に触ったり、食べたりする

  • 仏壇に背を向けて座る、足を向ける


必ず家人の許可を得てから、敬意をもって接することが大切です。



まとめ


仏壇へのお参りの作法は、一見複雑に思えるかもしれませんが、基本的な流れと心を込めるというポイントさえ押さえれば、決して難しいものではありません。


この記事で解説した、お参りの基本手順を最後にもう一度確認しましょう。


1. 仏壇の前に座り一礼する


2. お供え物がある場合はお供えする


3. ロウソクに火を灯す


4. 線香をあげ、手であおいで火を消す


5. りんを鳴らし、合掌・礼拝する


6. ロウソクの火を消し、再度一礼する


宗派による違いはありますが、最も大切なのは故人やご先祖様を敬い、感謝する気持ちです。

作法に自信がなくても、心を込めて丁寧に手を合わせれば、その思いは必ず届きます。


この記事を参考に、あなたも自信をもって仏壇の前に立ち、穏やかな心でお参りができるようになることを願っています。



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