仏壇買い替え完全ガイド|時期・手順・処分・費用を解説
- h-gyoten
- 9月26日
- 読了時間: 13分

長年大切にしてきたお仏壇が古くなったり、引っ越しやリフォームを機に、買い替えを考え始める方は少なくありません。
しかし、いざ買い替えとなると「何から手をつければいいの?」「古い仏壇はどう処分するの?」「ご先祖様に失礼にならないか、罰当たりではないか?」など、たくさんの疑問や不安が湧いてくるのではないでしょうか。
この記事では、そんなお悩みを抱える方のために、仏壇を買い替える時期から具体的な手順、古い仏壇の処分方法、費用相場まで、必要な情報をすべて網羅した完全ガイドをお届けします。
この記事を最後まで読めば、仏壇の買い替えに関する不安が解消され、安心してご先祖様のための新しい場所をご準備できるようになります。
仏壇を買い替えるべき4つの時期とタイミング
仏壇の買い替えに「この時期でなければならない」という厳格な決まりはありません。
ご自身の家庭の状況に合わせて、最適なタイミングで検討することが大切です。
ここでは、多くの方が買い替えを検討する代表的な4つのタイミングをご紹介します。
◆ 仏壇の劣化・破損・汚れが目立つ時
長年の使用による仏壇の劣化や破損は、最も分かりやすい買い替えのサインです。
毎日のお参りで扉を開け閉めするうちに、蝶番が緩んだり、木材が歪んでしまうことがあります。
また、金箔や塗りが剥がれてきたり、掃除では落とせない汚れが目立ってきたりした場合も、買い替えを検討する良い機会です。
ご先祖様が休まれる大切な場所だからこそ、綺麗で心地よい状態を保ってあげたいものですね。
◆ 家の新築・リフォーム・引っ越しの時
家の新築やリフォーム、引っ越しは、仏壇の買い替えに最適なタイミングの一つです。
これまでの仏間や和室がなくなり、新しい家のリビングに仏壇を置くケースが増えています。
その際、伝統的な大きな仏壇では、部屋の雰囲気やスペースに合わないことがあります。
最近では、洋室にも馴染むモダンなデザインの仏壇や、家具の上に置けるコンパクトな仏壇も豊富です。
住環境の変化に合わせて、新しいお住まいにふさわしい仏壇を選ぶことで、より自然な形でお参りを続けられます。
◆ ライフスタイルの変化で設置場所を変える時
ご自身のライフスタイルの変化も、仏壇の買い替えを考えるきっかけになります。
例えば、「これまで仏間として使っていた和室を子供部屋にしたい」「高齢になり、2階の仏壇へのお参りが大変になってきたので1階に移したい」といったケースです。
大きな仏壇では移動が難しい場合でも、コンパクトな仏壇に買い替えることで、ご自身の生活に合わせた最適な場所にご先祖様をお迎えすることができます。
◆ 法事や年忌法要の節目
故人の四十九日や一周忌、三十三回忌といった法事や年忌法要も、仏壇を新しくする良いタイミングです。
親族が集まる大切な節目に、新しく綺麗な仏壇でご先祖様をお迎えすることは、故人への深い感謝と供養の気持ちを表すことにつながります。
法要に合わせて準備を進めることで、計画的に買い替えを行うことができます。
仏壇買い替えの全手順5ステップ
仏壇の買い替えは、ただ新しいものを買って古いものを捨てる、というわけにはいきません。
ご先祖様への敬意を払い、宗教的な作法に則って進めることが大切です。
ここでは、後悔しないための仏壇買い替えの全手順を5つのステップで分かりやすく解説します。
◆ 手順1.菩提寺への相談と親族の合意
仏壇を買い替えることを決めたら、まず最初に菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)に相談しましょう。
お寺によっては、買い替えの手順や供養について決まりがある場合があります。
事前に相談することで、後のトラブルを防ぎ、スムーズに話を進めることができます。
また、仏壇は家族や親族にとっても大切なものです。
「なぜ買い替えるのか」「どのような仏壇にするのか」を事前に話し合い、皆の合意を得ておくことが、円満な買い替えの秘訣です。
◆ 手順2.新しい仏壇の選定と購入
菩提寺や親族の了承を得たら、新しい仏壇を選び始めます。
仏壇仏具専門店メモリアルギャラリーで、様々な種類の仏壇を見ることができます。
種類: リビングに合うモダンな仏壇、重厚感のある唐木仏壇など
サイズ: 設置したい場所の寸法を正確に測っておく
宗派: 宗派によって本尊や仏具が異なるため、事前に確認する
焦らずに、ご自身の住まいやライフスタイルに合った、心から納得できる仏壇を選びましょう。
◆ 手順3.古い仏壇の魂抜き(閉眼供養)
古い仏壇を処分する前には、必ず「魂抜き(たましいぬき)」の儀式が必要です。
これは「閉眼供養(へいがんくよう)」とも呼ばれ、仏壇に宿っているご本尊やご先祖様の魂を抜き、仏壇を「ただの木の箱」に戻すための大切な儀式です。
通常、菩提寺の僧侶に依頼して、自宅に来ていただき読経してもらいます。
この儀式を行わずに仏壇を処分することは、宗教的に避けるべきとされています。
◆ 手順4.古い仏壇の処分・引き取り
魂抜きが終わった仏壇は、いよいよ処分します。
処分方法はいくつかあり、それぞれ費用や手間が異なります。
菩提寺に依頼する
新しい仏壇を購入する仏壇店に引き取ってもらう
仏壇処分の専門業者に依頼する
決して粗大ごみとして自己判断で処分しないようにしてください。
各処分方法の詳細は、後の章で詳しく解説します。
◆ 手順5.新しい仏壇の設置と魂入れ(開眼供養)
新しい仏壇を家に設置したら、最後に「魂入れ(たましいいれ)」を行います。
これは「開眼供養(かいげんくよう)」とも呼ばれ、新しい仏壇のご本尊に魂を宿し、礼拝の対象とするための儀式です。
こちらも菩提寺の僧侶に依頼し、読経していただきます。
この儀式を経て、仏壇は初めて手を合わせるべき神聖な場所となるのです。
魂入れが終われば、仏壇の買い替えはすべて完了です。
古い仏壇の処分方法3選と費用相場
魂抜きを終えた仏壇の処分は、どのように行えばよいのでしょうか。
ここでは、代表的な3つの処分方法と、それぞれのメリット・デメリット、費用相場をご紹介します。
◆ 菩提寺に供養と処分を依頼する
最も丁寧で安心できる方法が、菩提寺に依頼することです。
先祖代々お世話になっているお寺であれば、魂抜きから処分の最後まで一貫してお願いできます。
お寺で「お焚き上げ」という形で供養・焼却してくれるのが一般的です。
メリット
宗教的な作法に則って、最も手厚く供養してもらえる安心感があります。
デメリット
お寺によっては処分を受け付けていない場合や、費用が比較的高くなることがあります。
費用相場
2万円~8万円程度(お布施として渡します)
◆ 仏壇店に購入と同時に引き取りを依頼する
新しい仏壇を購入する仏壇店に、古い仏壇の引き取りを依頼する方法です。
多くの仏壇店が買い替えサービスの一環として提供しており、手間が少なく済みます。
新しい仏壇の納品時に、古い仏壇を運び出してくれるため非常にスムーズです。
メリット
購入から処分までの窓口が一つで済み、手間がかかりません。買い替えを条件に、無料で引き取ってくれる場合もあります。
デメリット
仏壇店によって引き取りの条件や費用が異なります。購入前に必ず確認が必要です。
費用相場
無料~8万円程度(仏壇のサイズや種類によって変動します)

◆ 仏壇処分専門業者に回収を依頼する
菩提寺がない方や、仏壇店で引き取りを断られた場合に利用できるのが、仏壇処分の専門業者です。
インターネットなどで簡単に見つけることができ、全国対応している業者も多くあります。
魂抜き(閉眼供養)から処分までをセットで依頼できるプランを用意している業者もいます。
メリット
菩提寺との付き合いがなくても依頼でき、比較的費用を抑えられる場合があります。
デメリット
業者によってサービスの質や料金体系が様々です。信頼できる業者を慎重に選ぶ必要があります。
費用相場
2万円~7万円程度
魂抜き・魂入れの供養とお布施の費用相場

仏壇の買い替えにおいて、宗教的に最も重要な儀式が「魂抜き(閉眼供養)」と「魂入れ(開眼供養)」です。
ここでは、それぞれの儀式の意味と、僧侶にお渡しするお布施の相場について解説します。
◆ 魂抜き(閉眼供養)の意味と流れ
魂抜き(閉眼供養)とは、これまでお参りしてきた古い仏壇に宿るご本尊やご先祖様の魂を抜き、感謝を伝えてお別れするための儀式です。
この儀式により、仏壇は信仰の対象から「ただの物」へと戻ります。
一般的には、自宅に僧侶を招き、古い仏壇の前で読経してもらいます。
儀式にかかる時間は30分程度です。
◆ 魂入れ(開眼供養)の意味と流れ
魂入れ(開眼供養)とは、新しく購入した仏壇に安置したご本尊(仏像や掛け軸)に魂を宿し、信仰の対象として迎えるための儀式です。
「入仏式(にゅうぶつしき)」とも呼ばれます。
こちらも僧侶を招き、新しい仏壇の前で読経してもらいます。
この儀式を終えて初めて、仏壇は手を合わせるべき神聖な場所となります。
魂抜きと魂入れを同日に行うことも可能です。
◆ お布施の費用相場と渡し方のマナー
魂抜きや魂入れを僧侶に依頼した際には、感謝の気持ちとしてお布施をお渡しします。
お布施の相場
魂抜き・魂入れそれぞれで1万円~5万円が相場です。
両方を同日に行う場合は、合計で3万円~10万円程度を見ておくとよいでしょう。
地域やお寺との関係性によっても異なるため、不安な場合は事前に「皆様おいくらくらいお包みされていますか?」と尋ねても失礼にはあたりません。
交通費(お車代)
僧侶に自宅までお越しいただく場合は、お布施とは別に「お車代」として5,000円~1万円を包むのがマナーです。
渡し方
お布施は白い無地の封筒に入れるか、奉書紙に包みます。
表書きは「お布施」または「御布施」とし、下段に自分の氏名を書きます。
お車代は別の封筒に「御車代」と書いて用意します。
儀式が終わった後、お盆に乗せて僧侶にお渡しするのが丁寧です。
◆ 宗派による儀式の違いと不要なケース
浄土真宗では、「魂」という概念がないため、基本的に魂抜き・魂入れ(開眼供養)は行いません。
その代わり、古い仏壇をしまう際には「遷仏法要(せんぶつほうよう)」、新しい仏壇を迎える際には「入仏法要(にゅうぶつほうよう)」という法要を営みます。
これは、ご本尊をお移しすることをご本尊に報告し、感謝を伝える儀式です。
このように宗派によって考え方が異なるため、必ずご自身の宗派の作法を確認することが重要です。
新しい仏壇の選び方と購入費用
買い替えの手順が分かったところで、次に気になるのが「どんな仏壇を選べばいいのか」ということでしょう。
ここでは、新しい仏壇の選び方のポイントと費用について解説します。
◆ 仏壇の種類(モダン・唐木・金仏壇)
仏壇は大きく分けて3つの種類があります。
お部屋の雰囲気や好みに合わせて選びましょう。
フローリングのリビングや洋室にも自然に溶け込む、現代的なデザインの仏壇です。コンパクトなものが多く、家具の上に置けるタイプも人気です。

◆ 設置場所とサイズの確認ポイント
仏壇を購入する前に、必ず設置場所の寸法をメジャーで正確に測りましょう。
確認すべきは「高さ・幅・奥行き」の3点です。
特に見落としがちなのが、扉を開けたときの幅(開閉スペース)と、仏壇の前に座ってお参りするスペースです。
購入してから「大きすぎて入らなかった」「扉が壁に当たって全開にできない」といった失敗がないように、余裕を持ったサイズ選びを心がけてください。
◆ 宗派による仏壇・仏具の違い
仏壇や仏具は、宗派によって正式な形式が異なります。
例えば、ご本尊(仏壇の中央に祀る仏像や掛け軸)や、脇侍(ご本尊の両脇に祀る掛け軸)、使用する仏具(おりん、香炉、花立など)に違いがあります。
ご自身の家の宗派が分からない場合は、親族に確認したり、菩提寺に問い合わせたりしましょう。
仏壇店で「○○宗なのですが」と伝えれば、宗派に合った仏壇や仏具を提案してもらえます。
◆ 仏壇購入の費用相場
仏壇の価格は、種類、サイズ、材質、デザインによって大きく異なります。
モダン仏壇(上置きタイプ)
5万円~30万円
モダン仏壇(台付きタイプ)
20万円~80万円
唐木仏壇
30万円~150万円以上
金仏壇
50万円~300万円以上
これに加えて、ご本尊や仏具一式で5万円~20万円程度の費用が別途必要になるのが一般的です。
仏壇の買い替えに関するQ&A
最後に、仏壇の買い替えを検討している方が抱きがちな疑問にお答えします。
◆ 仏壇の買い替えは縁起が悪い?罰当たり?
いいえ、決して縁起が悪いことや罰当たりなことではありません。
むしろ、古くなった仏壇を新しく綺麗なものに買い替えることは、ご先祖様への感謝の気持ちを表す素晴らしい行いです。
大切なのは、この記事で解説したような適切な手順を踏み、魂抜きや魂入れといった供養をきちんと行うことです。
そうすれば、ご先祖様もきっと喜んでくださるでしょう。
◆ 菩提寺に連絡せず勝手に買い替えてもいい?
トラブルを避けるためにも、菩提寺には事前に連絡・相談することをおすすめします。
お寺との関係性を良好に保つことは、今後の法事などでも重要になります。
また、宗派の作法について正しいアドバイスをもらえるというメリットもあります。
特に魂抜きや魂入れを依頼する必要があるため、勝手に進めてしまうと後で困ることになりかねません。
◆ 古い仏壇の仏具はそのまま使える?
サイズやデザインが新しい仏壇に合えば、使える場合もあります。
しかし、仏壇を新しくするタイミングで、仏具も一式新調する方が多いです。
長年使った仏具は傷んでいたり、新しい仏壇の雰囲気に合わなかったりすることがあります。
ご本尊や脇侍については、宗派の作法に則る必要があるため、菩提寺に相談するのが最も確実です。
◆ 仏壇購入にローンは利用できる?
はい、仏壇店によってはローンや分割払いが利用できる場合があります。
仏壇は決して安い買い物ではないため、無理のない支払い計画を立てることが大切です。
多くの仏壇店で支払い方法の相談に乗ってもらえますので、購入を検討しているお店に直接問い合わせてみましょう。
まとめ
仏壇の買い替えは、ご先祖様と向き合い、感謝を伝える大切な機会です。
最初は不安に感じるかもしれませんが、一つひとつの手順を丁寧に進めていけば、何も難しいことはありません。
この記事の要点を最後にもう一度確認しましょう。
買い替えのタイミング
仏壇の劣化、家の新築・リフォーム、ライフスタイルの変化、法事の節目などが良い機会です。
買い替えの手順
「①菩提寺への相談 → ②仏壇の選定 → ③魂抜き → ④古い仏壇の処分 → ⑤魂入れ」の5ステップで進めます。
古い仏壇の処分
菩提寺、仏壇店、専門業者に依頼する方法があります。自己判断で捨ててはいけません。
供養と費用
魂抜き・魂入れの儀式を行い、僧侶にはお布施をお渡しします。浄土真宗など宗派による違いも確認しましょう。
仏壇を新しくすることで、ご家族の心も新たになり、日々の暮らしの中でご先祖様をより身近に感じられるようになるはずです。
この記事が、あなたの仏壇買い替えの一助となれば幸いです。
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