仏壇の花の飾り方完全ガイド|初心者でも分かる基本マナーから長持ちのコツまで
- h-gyoten
- 10月11日
- 読了時間: 10分

「仏壇にお花を飾りたいけど、どんな花を選べばいいの?」
「失礼にならない飾り方のルールってあるのかな?」
故人やご先祖様を想い、仏壇に花を供えようとしたとき、ふとそんな疑問が浮かぶことはありませんか。
大切なのは供養の気持ちと分かっていても、作法やマナーが気になってしまいますよね。
この記事では、仏壇に飾る花の基本的な飾り方から、花の選び方、長持ちさせるコツまで、初心者の方が抱える疑問を一つひとつ丁寧に解説します。
この記事を読めば、誰でも自信を持って、心を込めて仏壇に花を飾れるようになります。
ぜひ最後までご覧ください。
はじめに:仏壇に花を飾る意味とは?
そもそも、なぜ仏壇に花を飾るのでしょうか。
その意味を知ることで、より一層心を込めてお供えができます。
仏壇に花を飾ることには、主に3つの意味があるとされています。
故人やご先祖様への感謝と供養の心を表すため
美しい花を供えることで、故人を偲び、感謝の気持ちを伝えます。
仏様の慈悲の心を象徴するため
厳しい自然の中で美しく咲く花の姿は、仏様の慈悲や忍耐を象徴しているといわれます。
お参りする人の心を清めるため
美しい花は、私たちの心を和ませ、穏やかにしてくれます。花を通して仏様と向き合うことで、心が清められると考えられています。
花を飾るという行為そのものが、大切な供養の一つなのです。
【基本】仏壇の花の飾り方|守るべき5つのルール
仏壇に花を飾る際には、いくつか基本的なルールがあります。
これさえ押さえておけば、失礼にあたることはありません。
1. 花立(はなたて)の数と配置
仏壇に花を飾るための花瓶を「花立(はなたて)」と呼びます。
花立は、仏壇の左右に1つずつ、合計2つ(1対)を対称に置くのが基本です。
これは、仏様の世界の荘厳さを表現するためとされています。
ただし、仏壇のスペースが小さい場合や、日常的なお供えでは、花立を1つにして飾っても問題ありません。
大切なのは、心を込めてお供えすることです。
2. 花の向き
花の向きについては、「仏様の方に向けるべきか、お参りする私たちの方に向けるべきか」と迷う方が多いようです。
一般的には、お参りする私たちの方に向けて飾ります。
これは、仏様の慈悲の心が、美しい花を通して私たちにまで届くように、という考え方に基づいています。
また、美しい花を見ることで、お参りする人の心が和むという意味合いもあります。
3. 花の本数
お供えする花の本数は、3本・5本・7本といった奇数が良いとされています。
これは、古来の陰陽道で奇数が「陽の数」とされ、縁起が良いと考えられているためです。
花束をそのまま飾る場合は本数にこだわる必要はありませんが、自分で花を選んで生ける際は、奇数を意識するとより丁寧です。
4. 花の色
花の色は、白・黄・赤・紫・ピンクの5色を基本とすると、彩り豊かでバランスが良くなります。
特に決まりはありませんが、明るく優しい色合いの花を選ぶと良いでしょう。
ただし、故人が亡くなってから四十九日までは、白を基調とした淡い色の花を選ぶのがマナーです。棘や香りの強い花は避け、故人を偲ぶ気持ちを込めて、落ち着いた色合いの花をお供えしましょう。
5. 花の選び方
仏壇に飾る花は「仏花(ぶっか)」とも呼ばれます。
仏花には、長持ちする花や、季節を感じられる花を選ぶのがおすすめです。
故人が好きだった花を飾るのも、素晴らしい供養になります。
ただし、中には仏壇に飾るのにふさわしくないとされる花もあります。
次の章で詳しく見ていきましょう。
仏壇に飾ってはいけない花(タブー)はある?
ご先祖様に失礼がないように、避けるべきとされる花の種類とその理由を知っておきましょう。
トゲのある花
バラやアザミなどトゲのある花は、殺生や争いを連想させるため避けるのが一般的です。
また、お世話をする際にケガをする危険性もあります。
もし故人がバラ好きだった場合など、どうしても飾りたい時は必ずトゲをすべて取り除いてからお供えしましょう。
香りの強い花
ユリやクチナシなど香りが非常に強い花は、お線香の香りを妨げてしまうため、避けた方が良いとされています。
特にユリは花粉が多く、仏壇を汚してしまう可能性もあります。
毒のある花
スイセン、彼岸花、スズランなど毒を持つ花は、仏様にお供えするにはふさわしくありません。知らずに触れてしまう危険性も考慮し、避けるようにしましょう。
ツルのある植物
朝顔やクレマチスなどツル性の植物は、「絡みつく」様子が成仏の妨げになると考えられることがあるため、避けるのが無難です。
すぐに枯れてしまう花
すぐにしおれたり、花びらが散ったりする花は、掃除の手間がかかるだけでなく、「無常」をことさらに強調するため、あまり好まれません。
鉢植えはNG?
「仏壇に鉢植えを供えてはいけない」と聞いたことはありませんか?
これは、鉢植えの「根付く」という言葉が「寝付く」を連想させ、病気や不幸が根付いてしまうと考えられているためです。
縁起を担ぐ意味合いが強いですが、一般的には避けるべきとされています。
お供えする際は、必ず切り花を選びましょう。
【種類別】仏壇におすすめの花10選

「どんな花を選べばいいか分からない」という方のために、仏花として定番で、花屋さんでも手に入りやすいおすすめの花をご紹介します。
通年手に入りやすい定番の仏花
菊(キク)
仏花の代表格です。邪気を払うとされ、長持ちするため最もよく使われます。特に輪菊や小菊は定番です。
カーネーション
母の日のイメージが強いですが、フリル状の花びらが美しく、色も豊富で長持ちするため仏花としても人気があります。
トルコギキョウ
上品で優雅な雰囲気を持ち、色や咲き方のバリエーションが豊富です。比較的花持ちが良いのも特徴です。
スターチス
カサカサとした質感が特徴で、非常に長持ちします。他の花と組み合わせることで、彩りを添えてくれます。
キンセンカ
鮮やかなオレンジや黄色の花が特徴で、仏壇を明るく彩ります。比較的安価で手に入りやすいのも魅力です。
季節ごとのおすすめ仏花
春におすすめの花
アイリス、ストック、キンギョソウなど、春らしく明るい色の花がおすすめです。
夏におすすめの花
リンドウ、グラジオラス、ケイトウなど、暑さに強く、凛とした佇まいの花が向いています。
秋におすすめの花
秋咲きの菊やリンドウ、ワレモコウなど、秋の風情を感じさせる花が良いでしょう。
冬におすすめの花
スイートピーや葉牡丹など、寒さに強く、彩りを与えてくれる花がおすすめです。
故人が好きだった花や、季節を感じられる花を飾って、対話する時間を楽しむのも素敵な供養の形です。
【実践】仏壇への花の生け方・飾り方の手順
ここからは、実際に花を生ける手順をステップごとに解説します。
少しコツを意識するだけで、見栄えが良く長持ちするようになります。
STEP1:花の長さを決める
花瓶の高さの1.5倍から2倍くらいの長さを目安に、茎をカットします。花立に入れたときに、花の顔が少し見えるくらいの高さがバランス良く見えます。
STEP2:水切りをする
花を長持ちさせるための重要なポイントです。バケツなどに張った水の中で、茎の先端を斜めにカットします。これにより、茎の断面積が広がり、水を吸い上げやすくなります。
STEP3:主役の花(真)を決める
一番背が高く、中心となる花(真:しん)を決め、花立の中央にまっすぐ生けます。輪菊やグラジオラスなどが向いています。
STEP4:添える花(副・体)を生ける
主役の花を支えるように、2番目に長い花(副:そえ)や、手前に飾る短い花(体:たい)を生けていきます。主役の花に寄り添わせるように、少し斜めに挿すのがコツです。
STEP5:全体のバランスを整える
最後に、スターチスやカスミソウなどの小さな花で隙間を埋め、全体の形を整えます。**全体がひし形になるように意識すると、バランスよく美しく仕上がります。
左右一対で飾る場合は、2つの花立が左右対称になるように生けると、より丁寧で美しい印象になります。
仏壇の花を長持ちさせる3つのコツ
心を込めて飾った花は、できるだけ長くきれいに保ちたいものですよね。
簡単な3つのコツをご紹介します。
1. こまめに水を替える
できれば毎日、少なくとも2〜3日に1回は水を替えましょう。水が汚れるとバクテリアが繁殖
し、茎が詰まって水を吸い上げられなくなります。
2. 花立の中を清潔に保つ
水を替える際に、花立の内側もきれいに洗いましょう。食器用洗剤で洗うと、ぬめりや雑菌をしっかり落とせます。
3. 延命剤(切り花栄養剤)を使う
花屋さんや園芸店で販売されている延命剤を使うと、花の栄養補給と水の腐敗防止が同時にでき、格段に長持ちします。数百円で購入できるので、ぜひ活用してみてください。
仏壇の花に関するよくある質問(Q&A)
最後に、仏壇の花に関して多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。
Q1. 造花やプリザーブドフラワーは飾ってもいい?
A. 基本的には生花が最も望ましいですが、事情がある場合は問題ありません。
仏教では、命あるものが枯れていく姿から諸行無常を学ぶという意味合いもあるため、生花が良いとされています。
しかし、「仕事で家を空けがちで手入れができない」「アレルギーがある」といった場合は、造花やプリザーブドフラワーで代用しても構いません。
大切なのは、ご先祖様を想う気持ちです。
その場合も、時々は生花を飾ったり、こまめに掃除をしてホコリがかぶらないようにしたりする心遣いを忘れないようにしましょう。
Q2. 花はいつ交換すればいい?
A. 花が枯れたり、しおれたりしたら交換のタイミングです。
枯れた花をそのままにしておくのは、衛生的にも見た目にも良くありません。
また、お盆やお彼岸、命日、月命日などの特別な日には、その前に新しい花に交換するのが丁寧な作法です。
Q3. 古くなった花の処分方法は?
A. 基本的には可燃ゴミとして処分して問題ありません。
より丁寧に処分したい場合は、花に感謝し、塩をひとつまみ振って清めてから、半紙や新聞紙に包んでゴミ袋に入れると良いでしょう。
お庭がある場合は、土に還してあげるのも一つの方法です。
Q4. 夜は花を仏壇から下げた方がいい?
A. その必要はありません。常に飾っておくのが基本です。
お供え物(ご飯やお菓子など)は長時間置かずに下げますが、花は「常花(じょうか)」といって、仏様のいる世界(浄土)の美しさを表すものなので、常に飾っておきます。
まとめ:心を込めて飾ることが一番の供養
今回は、仏壇に飾る花の基本的な飾り方やマナーについて解説しました。
飾り方の基本は「左右対称」「花はこちら向き」「本数は奇数」
トゲや毒、強い香りがある花は避けるのが無難
菊やカーネーションなど長持ちする花がおすすめ
水切りやこまめな水替えで花は長持ちする
最も大切なのは、故人やご先祖様を想う気持ち
たくさんのルールがあって難しく感じたかもしれませんが、一番大切なのは「ご先祖様にきれいな花を飾りたい」というあなたの優しい気持ちです。
形式にとらわれすぎず、故人を偲び、感謝の心を込めて花を飾ることが、何よりの供養になります。
この記事を参考に、ぜひ自信を持って、あなたらしい花を仏壇に飾ってみてください。
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