犬の皮膚病|症状・原因・うつる病気を解説
- 2025年12月29日
- 読了時間: 12分

「最近、愛犬が体を痒がっている…」「皮膚に赤いブツブツや黒いかさぶたができて心配…」
家族の一員である愛犬の体に異変を見つけると、とても不安になりますよね。
犬の皮膚は非常にデリケートで、さまざまな原因から皮膚トラブルを起こしやすい動物です。
この記事では、愛犬の皮膚病で悩む飼い主様のために、以下の内容を分かりやすく解説します。
症状から考えられる皮膚病のチェックリスト
代表的な犬の皮膚病の種類と特徴
犬が皮膚病になる主な原因
すぐに動物病院へ行くべき危険なサイン
自宅でできるケア方法と注意点
人や他の犬にうつる皮膚病について
この記事を読めば、愛犬の症状への理解が深まり、次に何をすべきかが明確になります。
不安を解消し、適切な対応を取るための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
症状から探す犬の皮膚病チェックリスト
まずは、気になる症状から考えられる皮膚病の可能性を探ってみましょう。
ただし、これはあくまで目安です。
正確な診断は必ず動物病院で獣医師にしてもらってください。
赤い湿疹・ブツブツ・ただれ
犬の皮膚に赤い湿疹やブツブツ、ただれが見られる場合、細菌感染やアレルギーが疑われます。
お腹や内股、脇の下など、毛の薄い部分に現れやすいのが特徴です。
〈考えられる主な皮膚病〉
細菌性膿皮症
犬アトピー性皮膚炎
食物アレルギー
ノミ・ダニによる皮膚炎
接触性皮膚炎(シャンプーや化学物質などが原因)
黒いかさぶた・フケ・皮膚が黒い
犬の皮膚に黒いかさぶたやフケ、または皮膚自体が黒ずんでいる場合、慢性的な炎症や新陳代謝の異常が考えられます。
特に、犬の皮膚にできた黒いかさぶたは、古い出血や皮脂が固まったものであることが多いです。
〈考えられる主な皮膚病〉
脂漏症
マラセチア皮膚炎
ホルモンバランスの乱れ(甲状腺機能低下症など)
慢性的な皮膚炎による色素沈着
強いかゆみ・体をこする・舐める
犬が執拗に体を掻いたり、床や家具にこすりつけたり、同じ場所を舐め続けたりするのは、強いかゆみのサインです。
かゆみは多くの皮膚病で見られる共通の症状であり、放置すると皮膚を傷つけ、症状を悪化させる原因になります。
〈かゆみが特に強い皮膚病〉
犬アトピー性皮膚炎
ノミ・ダニによる皮膚炎(特に疥癬)
食物アレルギー
マラセチア皮膚炎
脱毛・毛が薄くなる
部分的な脱毛や、全体的に毛が薄くなる症状が見られる場合、感染症やホルモンの問題が隠れている可能性があります。
円形に毛が抜ける、左右対称に毛が薄くなるなど、脱毛の仕方にも特徴が現れることがあります。
〈考えられる主な皮膚病〉
皮膚糸状菌症
ニキビダニ症(アカラス症)
細菌性膿皮症(症状が進行した場合)
ホルモンバランスの乱れ(クッシング症候群など)
皮膚のベたつき・特有の臭い
皮膚が脂っぽくベタベタしていたり、これまでとは違う独特の臭いがしたりする場合、皮脂の過剰分泌や酵母菌の増殖が原因かもしれません。
特に、マラセチア皮膚炎では甘酸っぱいような独特の臭いがすることがあります。
〈考えられる主な皮膚病〉
脂漏症
マラセチア皮膚炎
犬の代表的な皮膚病の種類
ここでは、犬によく見られる代表的な皮膚病について、症状の特徴や原因を解説します。
ご自身の愛犬の症状と見比べてみてください。
細菌性膿皮症
細菌性膿皮症(のうひしょう)とは、ブドウ球菌などの細菌が皮膚で異常に増殖し、炎症を起こす病気です。
皮膚のバリア機能が低下したときや、他の皮膚病に続いて二次的に発症することが多く、犬の皮膚病の中で最も一般的です。
主な症状
赤いブツブツ(丘疹)、膿の入った水疱(膿疱)、フケ、円形の脱毛、かさぶた。
原因
皮膚の常在菌であるブドウ球菌の異常増殖。不衛生な環境、アレルギー、加齢による免疫力低下などが引き金になります。
治療法
抗生物質の内服や外用薬、殺菌成分の入った薬用シャンプーなど。
マラセチア皮膚炎
マラセチア皮膚炎とは、皮膚の常在菌であるマラセチアという酵母菌(カビの一種)が異常増殖して起こる皮膚炎です。
皮脂の多い場所を好み、高温多湿な環境で悪化しやすい傾向があります。
主な症状
強いかゆみ、皮膚の赤み、ベタつき、大量のフケ、独特の甘酸っぱい臭い。慢性化すると皮膚が厚く硬くなり、黒ずむ(色素沈着)こともあります。
好発部位
耳、指の間、脇の下、内股、口の周りなど。
治療法
抗真菌薬の内服や外用薬、マラセチアに効果のある薬用シャンプーなど。
犬アトピー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎とは、ハウスダストや花粉、カビなど、環境中のアレルゲンに対する過剰な免疫反応によって引き起こされる、慢性的でかゆみを伴う皮膚炎です。
遺伝的な素因が関わっていると考えられており、特定の犬種で発症しやすい傾向があります。
主な症状
強いかゆみ(特に顔、耳、足先、脇、お腹)、皮膚の赤み、脱毛、色素沈着。皮膚を掻き壊すことで二次的に膿皮症やマラセチア皮膚炎を併発しやすいです。
原因
環境中のアレルゲン(ハウスダスト、ダニ、花粉、カビなど)。
治療法
かゆみを抑える内服薬(ステロイド、免疫抑制剤など)、外用薬、スキンケア(保湿、薬用シャンプー)、アレルゲンを避ける環境整備など、生涯にわたる管理が必要です。
ノミ・ダニによる皮膚炎
ノミやダニなどの外部寄生虫が皮膚に寄生することで、さまざまな皮膚トラブルを引き起こします。
特に、ノミの唾液に対するアレルギー(ノミアレルギー性皮膚炎)は、激しいかゆみを伴います。
主な症状
激しいかゆみ、赤い発疹、脱毛、かさぶた。特に腰から尾の付け根にかけて症状が出やすいのがノミアレルギーの特徴です。ヒゼンダニ(疥癬)は耳のふちや肘、かかとなどに激しいかゆみとフケ、厚いかさぶたを作ります。
原因
ノミ、マダニ、ヒゼンダニ、ニキビダニなどの寄生。
治療法
駆虫薬の投与が基本です。炎症やかゆみがひどい場合は、抗炎症薬やシャンプー療法を併用します。定期的な予防が最も重要です。
食物アレルギー
食物アレルギーとは、食事に含まれる特定の成分(主にタンパク質)に対して、体が免疫反応を起こし、皮膚のかゆみや消化器症状を引き起こす病気です。
主な症状
全身のかゆみ(特に顔、耳、足先、肛門周り)、皮膚の赤み、湿疹。下痢や嘔吐などの消化器症状を伴うこともあります。
原因
牛肉、乳製品、鶏肉、小麦、大豆など、食事に含まれる特定のタンパク質。
治療法
原因となるアレルゲンを含まないフード(除去食)や、アレルギー対応の療法食に切り替える食事療法が中心となります。
皮膚糸状菌症(真菌)
皮膚糸状菌症とは、真菌(カビ)の一種が皮膚の角質層や毛、爪に感染して起こる病気です。
リングワームとも呼ばれ、人や他の動物にもうつる人獣共通感染症(ズーノーシス)です。
主な症状
円形に赤く縁取られた脱毛、フケ、かさぶた。かゆみは無いか、あっても軽いことが多いです。子犬や免疫力の低下した犬で発症しやすい傾向があります。
原因
皮膚糸状菌という真菌の感染。
治療法
抗真菌薬の内服や外用薬、薬用シャンプーが用いられます。完治まで時間がかかることがあり、環境の清掃・消毒も重要です。
脂漏症
脂漏症(しろうしょう)とは、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)に異常が起こり、皮脂が過剰に分泌されたり、フケが大量に出たりする状態です。
皮膚がベタベタする「脂性脂漏症」と、カサカサしてフケが多い「乾性脂漏症」があります。
主な症状
皮膚のベタつきまたはカサつき、大量のフケ、独特の脂っぽい臭い、かゆみ、脱毛。
原因
遺伝的な素因(原発性)のほか、アレルギーやホルモン異常、不適切な食事などが原因(続発性)で起こります。
治療法
原因となっている病気の治療と並行し、角質を調整する成分や保湿成分の入った薬用シャンプーで定期的にスキンケアを行います。
犬が皮膚病になる主な原因
犬の皮膚病は、単一の原因だけでなく、複数の要因が複雑に絡み合って発症することがほとんどです。
外部寄生虫(ノミ・ダニ)
ノミやダニは、かゆみやアレルギーを引き起こすだけでなく、皮膚を傷つけ、二次的な細菌感染の入り口を作ります。定期的な予防薬の投与が非常に重要です。
細菌や真菌(カビ)の感染
健康な皮膚にも存在する細菌や真菌が、皮膚のバリア機能の低下などをきっかけに異常増殖し、皮膚炎を引き起こします。
アレルギー(食物・環境)
特定の食べ物や、ハウスダスト・花粉などの環境中のアレルゲンに体が過剰反応することで、強いかゆみや炎症が起こります。
ホルモンバランスの乱れ・遺伝
甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)といった内分泌疾患が、皮膚の異常として現れることがあります。また、アトピー性皮膚炎や脂漏症のように、特定の犬種で発症しやすい遺伝的な素因も関係します。
不適切な食事やスキンケア
栄養バランスの偏った食事は、健康な皮膚を維持する力を弱めます。また、シャンプーの頻度が多すぎたり少なすぎたり、洗浄力の強すぎるシャンプーを使ったりすることも、皮膚のバリア機能を損なう原因となります。
すぐに動物病院へ行くべき危険な症状
愛犬に以下のような症状が見られる場合は、緊急性が高い可能性があります。
様子を見ずに、すぐに動物病院を受診してください。

急激に広がる発疹や脱毛
症状が数時間〜1日で急速に悪化している場合。
出血や膿を伴うただれ
皮膚がジュクジュクしていたり、膿が出ていたりする場合。
強い痛みで触られるのを嫌がる
特定の場所を触ろうとすると、鳴いたり怒ったりする場合。
元気や食欲がない・発熱している
皮膚症状だけでなく、ぐったりしている、ご飯を食べない、体が熱いなど、全身に症状が出ている場合。
犬の皮膚病の治療法と自宅での治し方
犬の皮膚病の治療は、動物病院での治療と自宅でのケアを両立させることが大切です。
「治し方」といっても、自己判断での治療は症状を悪化させる危険があるため、必ず獣医師の診断と指示に従いましょう。

動物病院での主な治療法
獣医師は、原因を特定した上で、以下のような治療法を組み合わせて行います。
〈内服薬〉
抗生物質、抗真菌薬、抗炎症薬(ステロイドなど)、かゆみを抑える薬(免疫抑制剤など)
外用薬
塗り薬、スプレー、点耳薬など
薬用シャンプー
殺菌、保湿、角質除去など、症状に合わせたシャンプー
食事療法
アレルギー対応の療法食への切り替え
駆虫薬
ノミ・ダニの駆除と予防
自宅でできるスキンケアと食事管理
獣医師の指示のもと、自宅では以下のようなケアで治療をサポートします。
清潔な環境の維持
こまめに掃除を行い、ハウスダストやカビを減らしましょう。ベッドやタオルも定期的に洗濯します。
適切な温度・湿度の管理
特に夏場は、エアコンを活用して高温多湿を避けることが重要です。
食事の見直し
獣医師に相談の上、アレルギー対応フードや皮膚の健康をサポートする栄養素(オメガ3・6脂肪酸など)が含まれたフードを検討します。
保湿ケア
乾燥が気になる場合は、犬用の保湿剤で皮膚のバリア機能をサポートします。
薬用シャンプーの正しい使い方
薬用シャンプーは、正しい使い方をしないと効果が半減してしまいます。
以下の手順を守りましょう。
予洗い
ぬるま湯(35℃前後)で皮膚と被毛を十分に濡らします。
シャンプー
シャンプーをよく泡立て、指の腹でマッサージするように優しく洗います。
薬浴
泡をつけたまま、獣医師に指示された時間(5〜10分程度)放置します。
すすぎ
シャンプー成分が残らないよう、時間をかけて丁寧にすすぎます。
乾燥
タオルドライ後、ドライヤーの冷風や低温の温風で、根本からしっかりと乾かします。生乾きは細菌繁殖の原因になります。
人間用の薬やかゆみ止めは使用禁止
「少しくらいなら…」と、人間用の塗り薬やかゆみ止めを使用するのは絶対にやめてください。
犬と人間では皮膚の構造や薬の代謝が異なるため、症状が悪化したり、中毒を起こしたりする危険性が非常に高いです。
自己判断での投薬はせず、必ず動物病院で処方された薬を使用しましょう。
人や他の犬にうつる皮膚病はあるか
「この皮膚病は、自分や子供、他の同居犬にうつるの?」という点は、飼い主様にとって大きな心配事だと思います。
結論から言うと、一部の皮膚病は人や他の犬にうつる可能性があります。
人にうつる可能性のある犬の皮膚病
犬から人に感染する病気を人獣共通感染症(ズーノーシス)といいます。
皮膚病では以下のものが代表的です。
皮膚糸状菌症
原因となるカビが人の皮膚に感染すると、円形の赤い発疹(水虫やたむしに似た症状)が出ることがあります。
疥癬(かいせん)
原因となるヒゼンダニが人の皮膚に一時的に寄生し、激しいかゆみを引き起こします。ただし、人の皮膚では繁殖できないため、犬の治療が進めば人の症状も治まります。
他の犬にうつる可能性のある皮膚病
他の犬にうつる可能性があるのは、上記の皮膚糸状菌症や疥癬に加えて、以下のようなものです。
ノミ・マダニ
散歩中やドッグランなどで、他の犬からノミやマダニが移ることがあります。
細菌性膿皮症
通常はうつりませんが、免疫力の低い子犬や老犬などでは、接触によって感染が広がる可能性もゼロではありません。
感染を防ぐための注意点
感染が疑われる場合は、以下の点に注意して拡大を防ぎましょう。
過剰な接触を避ける
治療中は、犬を抱っこしたり、同じベッドで寝たりするのを控えましょう。
手洗い・消毒の徹底
犬を触った後やケアの後は、必ず石鹸で手を洗いましょう。
生活環境の清掃
犬が使っているベッドやタオル、おもちゃはこまめに洗い、掃除機をかけて抜け毛やフケを取り除きましょう。皮膚糸状菌症の場合は、次亜塩素酸ナトリウムなどでの消毒が有効です。
他の動物との接触を制限す
完治するまでは、ドッグランやペットホテル、トリミングサロンの利用は控え、他の犬との接触を避けましょう。
まとめ
犬の皮膚病は、かゆみや痛みで愛犬に大きなストレスを与えるだけでなく、背後に別の病気が隠れているサインかもしれません。
犬の皮膚病は原因が多岐にわたり、見た目だけでの判断は難しい。
赤い湿疹、黒いかさぶた、強いかゆみ、脱毛などの症状は、病気のサイン。
気になる症状があれば、自己判断せずに早めに動物病院を受診することが最も大切。
人や他の犬にうつる皮膚病もあるため、正しい知識を持って対処する必要がある。
日頃から愛犬の体をよく観察し、ブラッシングなどのスキンシップを通して皮膚の状態をチェックする習慣をつけましょう。
早期発見・早期治療が、愛犬を苦痛から早く解放してあげるための鍵となります。
この記事が、愛犬の健康を守る一助となれば幸いです。
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